皇国の為にぞ尽くす眞心は神や知るらん知る人ぞ知る
奈良県五條市は「明治維新発祥の地」といわれている。明治維新のわずか五年前、五条市で本格的な武力による討幕運動が初めて起きたのだ。起こしたのが天誅組で、総大将は中山忠光卿。忠卿光の姉が明治天皇の生母なので、明治天皇の叔父にあたる。当時十九歳の血気盛んな青年貴族を総大将に、藤本鉄石(岡山県出身)、吉村寅太郎(高知県出身)、松本奎堂(愛知県出身)の3人を総裁に、地元・五條出身の乾十郎、井澤宜庵(ぎあん)、橋本若狭らを含め、全国各地から集まった倒幕・尊皇の願いをもった平均年齢二十五歳の志士たちが天誅組である。
この詠は、天皇(皇国)のために戦ったにもかかわらず、朝廷から反乱軍として追われて果てた水郡(にごり)善之祐の辞世の句。水郡善之祐は仲間と共に天誅組離脱後、龍神で紀州藩に自首し、後に京都に送られて処刑されたが、幽閉されていた米倉庫の柱に自らの血で書き残したもので、我々は私利私欲で決起したものではないことを家族や「子孫」に自ら伝えた。 天誅組決起150年前 イベント講演より |